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燻製にチップとして使用する木は色々な種類があります。
一般的に、針葉樹を使うことはありません。煤が多く黒ずんでしまうし、やに(松脂)による臭いがあるためです。
広葉樹を使います。広葉樹のことを雑木(ぞうき)と言いますがご存知ですか。
日本では檜に代表されるように針葉樹が重宝されてましたが、燻製の世界は逆です。
この後に出てくる「ぶな」は漢字で「木と無」なので、木でないとでも考えられていたのでしょうか。
燻製の素材(肉、魚など)と相性のよい木を選びます。
木の香り、色づき加減から、製品の仕上がりに大きな影響を与えるので木の選択は大切です。
また、木の種類だけではなく、木チップに加工した形状から選択することも必要です。

チップの形状
チップ(木片) 市販品では5mm程度に細かく粉砕したもの、1〜2cmのものもあります。
チェンソーの切りくず、おがくずも該当します。
当工房では、手作りをしています。下部をご覧ください。
スモークウッド おがくずより更に細かい状態(粉状)のものを固めたものです。
個人で製造することは難しいので市販品を使用することが多い。
火が付いてしまえば熱源が不要なため、冷燻に適してます。
扱い易さは一番です。初心者はこれから始めると良いでしょう。
加工なしの木
 (木丸ごと)
粉砕せず、薪の状態で使用しますが、趣味の世界ではあまり見かけません。
私の知人に大掛かりな設備で使用している人がいます。
熱燻、温燻用。
木(チップ)の特質  一般的に言われていること
さくら 最もポピュラーな木。
香りがきついので、くせのある素材に向いている。肉に使用することが多い。
くるみ さくらと同様にポピュラーな木。
木の香りにくせがない。素材を選ばない。肉、魚ともに適している。
なら 木の香りは少ない。色づきが良く仕上がりがきれい。素材を選びません。
ここまでが燻煙材の御三家?
りんご 甘い香り。
くせのない素材に適している。
ぶな ならと同様に色づきが良い。
魚、肉共に適している。
北海道では、限られた地域にしか生えていない(黒松内、北大植物園)
かえで 甘い香り(メイプルの香り)
りんごと同様にくせのない素材に適している。
ヒッコリー 海外では最も多く使用されている模様。日本の木ではない。
素材を選ばない優れもの。
オールダー 海外で、ヒッコリーと並ぶオールマイティーな木。
国内では入手し難い。
木(チップ)の特質  手稲薫製工房の所感
くるみ
 (おにぐるみ)
現在、最も多用している。
香りにくせがなく(生木の状態でも臭いが薄い)、素材の旨みを引き出してくれる。
また、入手が容易。初めは知人が薪としていたのを頂く。
北海道内の山には至る所に生えている。家具にも使用され、木は硬い。
くるみ
 (かしぐるみ)
知人の間伐材を頂いた。
おにぐるみより、香りが強いが煙量が少ない。
香りに個性があり、試用に留まっている。
ヒッコリー 10年程前に、千葉市の知人(椿森、大文字のマスター)からヒッコリーを頂き、愛用していたが品切れとなる。
残念ながら、国内産は見当たらないし、注文をしなければ購入もできない。
実は、クルミ科の木で、実は普段見かけるくるみよりややスマートです。
札幌の北大植物園に沢山あり、ボーイスカウトの年少者(ビーバー隊)の木の実探しの対象でもある。
なら
 (みずなら)
一般的であり、入手が容易。北海道産の家具に使用されることも多い。しかし、この木がオーク材であること、どんぐりの木であることを知っている人は少ない。
なら、樫、オークの関係は如何に。ぶなの仲間でもある。 香りにくせがなく(生木では臭いが分からないほど)、色づきが良いことから、使用頻度は高い。
他の材料にブレンドして入れることが多い。スモークサーモンの美しい色づけを助けてくれる。

間伐材を輪切りして、チップにする(2006.11.24)

大量に所持しています。ご希望の方はお申し出ください。
ぶな ならと同様に、色づきが良い。しかし、独特の渋みがあるので現在は使用していない。
燻製素材のバリエーションが増えた時に再考する。
ジャックダニエルの樽 ホワイトオーク材。これも知人から頂いた。
スモークサーモンに使用したが、できた燻製はバーボンに良く合った。
※ニッカウヰスキーの用済み樽の蓋を当会の仲間が所有しており、いずれレパートリーに追加します。
さくら 生ハム作りのベースとして使用しております(さくら、くるみ、ならのブレンド)。
香りが強いので肉に良く合うと言われてますが、さくらの個性を全面的に出さず、なら、くるみとブレンドして用いることが多い。
現在使用しているのは平成16年の台風で倒木したものです。
サクランボ、普通のさくら、山ざくらを比べてみましたが、山ざくらが最高です。
りんご 甘くまろやかです。
サーモンにブレンドして使用しています。単独で用いても良い。
札幌市三角山麓のリンゴ農家の間伐材を頂いている。
煙の量は少ない。煙に苦味、えぐい香りがする。
卵を使って試しましたが、今一でした。言葉での表現は難しいのですが、棘のある香りです。燻煙材として不適ではありませんが、あまりお勧めできるものでもありません。(2004.3.14)
かえで 甘い香りがします(メイプルシロップの木です)。全ての素材の適している。
チップとしての加工は大変です。木に粘りがあり、細かく割るのに時間がかかります。
チェンソーで切断した切り屑、鋸くず化して使用しました。
白樺
この木は平成16年の台風18号の影響で風倒したものです。(採取地:札幌市藻岩山)
白樺をチップとして市販されているのを見たことがありません。しかし、本材を燻製に用いている方をHP等で目にすることがあります。
木材として、薪としての評価は余り高くはありません。乾燥が不十分だと、一年で木がぼけてしまいます。卵を使い、香り、色づきを試してみました。なかなかの物と思います。香りに個性はなく、色づきは普通。何にでも合うと思われます。早速、サーモン、秋刀魚の燻製に使用しました。グーです。チップへの加工は極めて容易です(2004.10.17)
山ざくら
この木は当会会員屋中氏の工房の脇にある樹齢60年の山ざくらの枝(径13cm)です。台風の影響で太い枝が折れてしまったものを頂きました。
さくらでは最も香りが良いと言われてます。
平成16年11月に作成するロースハムに使用します。(2004.11.7)
木に対する想い
静かに、木に耳を当ててみてください。
木の囁きが聞こえてくるのです。
そんな馬鹿なと思いでしょうが(私も思っておりました)聞こえてくるのです。
 生きている木を大切にし、またその恵みを最大限に授かりたいものです。
私達は、そのような愛する木を大切に使用します。有効に活用した残りの部分を燻煙材として使用してます。
チップの製造
斧、ナタで細断する方法
通常、この方法で作成しています。繊維が素直な木の(なら、くるみ等)に適しています。
 @端材を長さ1.5cm〜2cmに切断する。
 A切断した材料を斧又はナタで細かくする。 
@ 端材を長さ1.5cm程度に切断した状態。
電動鋸を使用して切断。
(電動鋸は非常に危険なので、取り扱いに注意。一般の鋸でも可能です。概して燻煙に適した木材は堅いのでくれぐれも慎重に)
この材料は「なら」です
A 上記の材料を斧又はナタで割る。
この量で15分程度を要する(個人差大)。
節がなければナタで容易に割れる。この厚さは1〜2mm程度
刃物を扱う上での留意事項:
ナタを持つ手は素手とする。(軍手等手袋は手が滑り危険)
材料を持つ手には手袋必須。(万が一の被害を最小限に)
チェンソーで削る方法
チェンソーで切断した際の切り屑を利用するケース、木の繊維が素直でなく斧、ナタで細断し難い木質(かえで、 枝近くの部位)の場合に適しています。
 ただし、チェンソーの使用は非常に危険なので、技術の伴わない方は避けて下さい。
生木のかえで材を切断した際のチェンソーの切り屑です。
 当会員・屋中氏の工房にて作業。

鋸くずとする方法
2.と同様に、鋸くずを利用するケースです。

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